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第1回 問題意識の持続と「ネタ」探しの練習法 

 アイデアを生み出す最大のポイントは、いかに問題意識を強く持ち、かつ持続させるかです。

 ただ、いきなり問題意識を持続することと言われても、「一体何に対しての問題意識を持てばよいのだろう?」と戸惑う人が多いと思います。たとえば、現状に満足はしていなくても、これといったはっきりとした不満を抱いていない人は、「問題」もないわけで、結果、戸惑うことになります。

 そこで、具体的な練習案として、「あることについて、必ず1日1件見つける」ことを課題にする手法を提案します。「あること」は自由に決めてもらってよいのですが、 慣れるまでは、業務に直結したテーマよりも、個人的な趣味など、なんとなくやってみたい、知りたいと思っていることをテーマにする方が長続きしやすいでしょう。

 たとえば、日ごろ花に興味がある人が、「花」をテーマに選んだ場合を例にして、話をすすめてみましょう。
 この場合、「一日ひとつの花を探すこと」が課題になります。
 テーマを決めたら、現時点で自分が知っている花をすべて、出し惜しみぜずに書き出します。 このとき、花の名前だけでなく、学術名や原産地、開花時期など詳しく書き出すと、これからもすべて調べなければという 精神的な負担になって、あとで息切れしてきます。簡単に花の名前を箇条書きにするだけで構いません。 インターネットを使えば、一気に多くの花の名前は検索できたりします。また、図書館や書店でも見つけることができます。 でも今は情報の見つけ方・検索のしかたの練習ではなく、
問題意識の持続の練習です。 何気なく見ている通勤電車の中のつり広告や、窓から見える看板、新聞・雑誌、日常の会話、電車の中での他人の会話 などをヒントとして、すでにリストに書き出している花以外の新たな花を見つけ出します。
ある広告看板の中に、今までのリストに入っていない花のデザインが使われていたら、その花もあなたにとっての「新しい花」です。
花の名前がわからないときは、「○○社の○○商品の広告デザインに使われている花」や「○○線○○駅に掲示の看板に使われていた花」でも構いません。
訓練ですからこれで良いのです。このままではすっきりしないと思われる方は、時間や機会があるときに花の名前を調べると良いでしょう。

 ただ、自分ひとりでやっていると、チェックや罰則がないので、すぐに飽きたり、挫折してしまいます。そこで、ごまかしのできない方法を提案します。
 たとえば、毎日第三者に見つけたものをメールする方法です。他の人とお互いにメールで交換することにより、チェックが入りますので続けざるを得なくなります。
「せざるを得ない」状況がなくても、持続できるようになるのが理想ですが、慣れないうちはそういう状況に追い込むこともひとつの方法です。

 1日に数種類見つかる日もあれば、見つからない日もあります。
練習ですから、一日一件見出すのがベストですが、ないときは矢無を得ません。一日一件が軽くクリアできる場合は、問題意識の持続ができていることになります(テーマの選択が良かったのかも知れません)。
たとえば、営業ノルマの場合、「今月は達成したので、これからの分は来月に回そう」といったこともありますが、発想法の練習の場合は、お勧めできません。
見つからなかった日があっても仕方がありません。まして同じ生活・通勤ルート・習慣を続けていると、「ネタ切れ」を起こすこともあります。実はそのときが最も大切な訓練の時期です。
 「このままではダメだ」、「他の方法・ルートを探さなきゃ」と思う気持ちが最も大切です。そして今までと違った方法やルートを探すことができるようになれば、大いなる進歩です。 そして意識的にあまり努力しなくても、極端に言えば無意識の内に見つけられるようになれば、ほぼこの訓練は卒業です。

 ここでもうひとつ、この練習中に身に付けることをお薦めするのは、直接「花」を見つけるだけでなく、連想から引き出してくる方法です。たとえば、次のような連想です。
* 蚊取り線香の広告から「除虫菊」
* 週刊誌つり広告記事の「タイガース」の見出しから「虎の尾(虎尾桜)」
* 東京タワーを見て、そのイメージを逆さにして「鉄砲百合」
* 祭りの出店のかざぐるまを見て(または初詣に行って破魔矢を買って)「矢車草」
などのように、なにかをキーワードやヒントにして、無理にでも、あるいは強引にでも引き出す練習をします。
 四六時中、問題意識を持つと言うことは、プライベートな時間、または家族と過ごす時間も犠牲にするのか?」と尋ねられたこともありますが、そうではありません。
 問題意識」をいつも活発に活動させるのではなく、頭の中のほんの片隅に置いておくことです。そして、何かのヒント、取っ掛かりで活動させる準備をさせておくのです。たまたま、活動しようとしたときが プライベートな時間や家族との団欒の場であったときは、その雰囲気を壊さずにメモを取っておいて、あとで思い出して対処します。

 最初は単に訓練用のダミーのつもりのテーマが、練習で取り組んでいるうちに本当にやりたいテーマにはまってしまった人もいます。それはそれで趣味が増えて良いことではないでしょうか。