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第13回 心を亡くしていた6ヶ月

 まったくとんでもなく多忙な6ヶ月が過ぎ去りました。これまで経験してきた中で最も高いレベルでした。

 それは、山々が色づき出す前から始まり、冬が過ぎ、桜が散り、青葉が美しいこの時期まで続き、 ほとんど季節の移ろいを観ることなく過ごしてしまいました。 私にとっては1ヶ月ぐらいの感覚ですが、暦ではなんと6ヶ月が過ぎ去っています。
 ここにきてやっと余裕が出てきたことから今回は、この半年間を振り返り、この間の反省と今後について考えてみます。

「忙しい」とは

 「忙しい」の「忙」は立心偏に亡くすと書きます。  つまり「忙しい」とは「心を亡くす」ことに通じるものがあるように思います。 業務を正確にこなすことがすべてになり、周りの人間への気配り、自分へのいたわり、仕事に注ぐ情熱・愛情レベルの低下など、 まさしく心を亡くしていた、あるいは亡くしかけていた6ヶ月間であったように思います。

 思い返せばバブル期も確かに相当な忙しさでした。それでも打ち合わせや、打ち合わせ後などは、 時にはアルコールなども入ってワイワイやっていました。また、打ち合わせをするための移動の時間は、 いろいろな刺激や頭の休息もできていたように思います。  ところが今回、6ヶ月の間にクライアントの担当の方と面と向かっての打ち合わせは10回にも満たない状況です。 この間、すべてがメールのやりとりで進んでいました。

 業務の能率・効率という面では、メールの活用は移動時間が不要、ついでに交通費も不要と言った良い面は評価できます。
 反面、ずーっと部屋に閉じこもった状態は延々と続くわけですから、たまらないものがあります。 外から受ける刺激、頭脳の休息時間は激減(ほぼゼロ状態)、そして何よりも人間の温かみを感じながら 面と向っての対話が少なかったことの寂しさ・空しさが残ります。



心を亡くさないために

 あまりに連続して多忙な時期が続いたため、今一体自分はどのような状態になっているのか、振り返る余裕すら失っていました。
 では、何故心を亡くすかですが、私は「自分が見えなくなる」からではないかと考えます。自分が見えないのですから、 当然他人も見えません。周りの人や景色は眼球の網膜には映っているはずなのに、「見ようとしない」状態だったと思います。
 では、どうすれば「自分が見える状態」に保てるかです。

 そこで一つの案ですが、現在の自分を鳥瞰図でも見るような気持ちで眺めてみてはと言うことです。
 実は以前からそのように自分を第三者的に眺めてみることはしたこともあったのですが、今回の多忙を極める状態では、 全くできていませんでした。 コンピュータの性能が向上したこともあり、仕事が連続して処理できます。以前のようにプリンタの出力待ち や通信待ちの状態はほとんどありません。すべてバックグランドで、レスポンスの低下もほとんど感じさせなく処理されてしまいます。

 まずは、自分を見つめる時間を一瞬でも持つように心掛けたいと思います。 たとえば、

朝一番や昼食後、席に付いて仕事を開始、再開するとき

トイレに立って手を洗うとき

湯船に浸かっているとき

布団に入って寝付く前 など

 ほんの一瞬で良いと思います。鳥になったつもりで、高い位置から自分の周りを見下ろしたときを想像します。
 仕事場を見下ろすと、机の上にやりかけの資料が積み上げられているでしょう。また、部下や同僚や上司の姿も見えるでしょう。 最近は紙の資料が減り、すべてパソコン内にある場合もあります。そのような場合は、ハードディスクのインデックス (ディレクトリ)でも想像します。
 次にカメラをズームアウト、またはパンする要領で家庭・家族の姿も思い浮かべてみます。
 自分を客観的に見ることにより、ふと忘れかけているもの、見落としているものが見えるかも知れません。 たとえ新たなものが見つからなくても、自分を見失わず、また自分の現状が把握しやすくなるのではと思います。
 そしてその中から、問題点や改良点、反省点を見つけ出すことができれば、心を亡くす危険性も低くなるのではと考えます。
 付録

 上記のような適当なイラストがないか、イラスト集などで探したのですが、人を鳥瞰図のように捉えたイラストは非常に少ない (ほとんどない)ことに気が付きました。そのようなイラストはあまり必要とされないので、 巷にあふれるイラスト集にもないということです。
 逆に考えれば、ほとんど見ないアングルであるとも言えます。そのような珍しいアングルから自分を見つめると、 それ自身が新鮮であり、何かが見つかる可能性も大きいのではないかと思っています(かなりきついこじ付けですが)。
 さらに、上記イラストはあくまで考え方の説明用のイメージ図です。当方の現状とは別のものです。