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第39回 驚異の再生能力


再生能力の素晴らしさに感動

 前回の「第38回 カラスの振り見て」の続編です。
 9月末に左足中指を骨折して、約1ヶ月を経過後、やっとテーピングも不要になったのですが、 骨の回復(再生)プロセスに感動するものがありました。
 もっとも、医学に携わっている人や何度も骨折している人(そんな人もいるかも)は周知のことで、 何を今さらと思われるかも知れませんが、私は今回初めてその生命体の再生能力、 メカニズムの素晴らしさを知りました。

仮骨(かこつ)

 仮骨とは、骨折部分が正常な骨に再生されるまで、折れた部分をカバーするギブスのようなものです。
 ただ、整形外科で処理されるギブスと違って、体の中に自然にできます。
(上記イラストでは側面にだけ形成されるように書いていますが、当然周囲に形成されます。)

 仮骨は次のようなプロセスで形成されます。
 骨折した部分から出血した血液が徐々に固まって繊維化します。一方骨折と同時に出てくる骨細胞の基となる 骨芽細胞がこの繊維に定着して硬くなります。これが仮骨です。 この状態で折れた部分に骨が再生されます。  この発生メカニズムに感動したのですが、さらに驚いたのは、この仮骨は骨の再生が完了すると、 自然に消えるということです。

足の構造と能力

 人の体は206個の骨で形成されています。その約4分の一に当る56個(両足分)が、足首から先にあります。
 片足28個の骨が実に巧妙に組み合わされ、靭帯、筋肉、腱でつながれています。
 その結果、二足歩行から階段の昇降、片足立ち、ジャンプ、約2時間で42.195Kmを走れるなど、実に多種多様の運動を可能にしています。
 今では二足歩行ロボットも珍しくなくなりましたが、それでも人間の赤ちゃんがやっと立ち上がって、 よちよち歩きができる頃のレベルと言えます。
 人間並みの運きをこなせるような足になるには、まだかなり時間がかかりそうです。

足の大切さ

 今回の骨折で今更ながら健康の有難さを実感しました。たまたま今回は、杖がなくても自力で歩けるレベルでしたが、 それでも足が痛いと活動が鈍ります。たとえ車で移動するとしても、駐車場から歩いて、目的の場所への移動は億劫です。 活動が鈍ると、次には気力も鈍ってきて、出かけようという気持ちもなくなります。まさしく悪循環が起こります。
 「足は第二の心臓」とも言われます。心臓から一番遠い部分で、全体重を支えているのです。
 心臓から送り出され、下ってきた血液をあらためて、心臓までポンプアップしなけれなりません。そのためのメカニズムも多分あるのでしょう。
 歩き、活動することによって、そのメカニズムが正常に働くようになっているはずです。


 このような素晴らしいメカニズム・能力はどうやって生まれてきたのでしょうか。 もしこのメカニズムの設計者がいたとすると、どれほど明晰な頭脳の持ち主だろうかなどと考えてしまいます。
 生命体の素晴らしさを、あらためて考える機会を得えてくれた今回の骨折でした。

おまけのお話

 今回の骨折で治療通院中に偶然、趣味の切り絵の取材が入り、 TVで放映(ムービー参照)されました。
 それを見た看護婦さんや院長先生との話の中で、「切り絵作品を飾ってあげてもいいよ」との話になりました。
 早速、TVで取り上げられた作品(元興寺の薬師如来立像)を持参、今、待合室の壁を飾っています。  「病院の待合室に仏像はどうなん?」と思う人もあるかも知れませんが、薬師如来は病から救ってくださる方ですから 良いとの院長先生の決断です。
 これで県立民族博物館、20年通っている理髪店に次いで、第3番目の作品の常設展示場になって頂くことができました。 これがまさしく「怪我の功名」ってところでしょうか。
 友人に話すと「転んでも、ただでは起きん奴」と褒めて(?)くれました。
 

(更新:2006.12.1)