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第19回 時間時速




時間の速度を下げるための考察

 今年もあと半月で終わろうとしています。皆さんにとって、この一年は長く感じましたか、それとも短く感じましたか。私は、去年よりまた短くなったと感じています。
 そこで、今回は「年齢と共に時間が早く進む」ことについて考察してみます。

 気持ちの上では、時間にも速さがあります。これを時間時速と呼ぶことにします。

まずは時間時速が遅いものを挙げてみます。
・子供の頃のおやつまでの時間
・小学校の遠足の日
・デートの日・時間が来るまで
・給料日 など

 これらは、何か楽しみにしていることが近付くまでの待つ状態です。

逆に時間時速が速いものを挙げてみます。
・楽しく遊んでいるとき
・仕事に追われているとき など

 これらは、行動している状態です。

「待つ」と「行動中」で大きく分かれます。ただ年齢と共に時間時速が増すという現象にはつながりません。
そこで、別の切り口で考察します。 今度は、子供のときと大人になってからの比較の中で、時間時速をアップさせるかも知れない要因を挙げ、その関係を仮定します。

・疑問、驚き、感心、感動の回数とレベル
 子供の頃は、初めてのものを見たり経験したことに対し、疑問、驚き、感心、そして感動していました。それこそ1日に何度もそのような状態に出会うこともありました。
大人になるほどに、それらの回数はぐんと減り、ときたま感動しても、そのレベルは低いです。
→疑問、驚き、感心、感動の回数とレベルが大きいほど時間時速は遅い。レベルが下がれば時間時速は速くなる。

・心から楽しむ機会
 子供も最近は塾通いで随分減少したかも知れませんが、それでも「楽しく遊ぶ時間」は大人に比べて多く持っています。
→楽しく遊ぶ時間が多いほど時間時速は遅い。遊ぶ時間が短くなれば時間時速は速くなる。

・体を動かしている時間
 子供は体育の時間だけでなく、休憩時間など体を動かしています。
→体を動かす時間が多いほど時間時速は遅い。体を動かさなくなれば時間時速は速くなる。

 これらをまとめて、多元方程式を立てても頭が痛くなるぐらいで、納得できる「解」は出て来ないように思えます。まだ、答えが出てきません。そこで今度は「物事の切れ目」、「間」の変化について考察してみます。

・休み時間
 生徒、学生時代は授業ごとにチャイムが鳴り、休み時間がありました。
 つまり、何か別のことをするには、一旦ニュートラルポジションがあったのです。 会社でも昼休みはありますが、忙しいときは急いで食べて、すぐ仕事に戻ることも多く、仕事と仕事の間の切れ目もなくなることが多々あります。

・テレビのチャンネル切替
 テレビも、以前はチャンネルの切り替えの際、間にノイズの雨降り画面がありました。 今はボタン操作で、いきなり切り替えることができ、間にニュートラル部分がなくなりました。

・移動手段
 各駅停車の時代から、急行、特急、飛行機へと変わり、「間」がなくなっています。
昔のように各駅停車の場合は、きちんと駅のホームに止まり、大きな駅なら弁当売りのおじさんが弁当だけでなく、ジュースやミカンを売りに来るなど、1駅進むごとに「間」がありました。今はそれがなくなっています。

「間」の大切さ

 ものごとを切り換える際、いきなり切り換えるとどうしても無理・歪が生じます。
 ビデオ編集をされたことがある方はわかると思いますが、全く違うシーンを何も処理せずにつなぐと、見ている人は違和感を覚えます。一度フェードアウトしてからフェードインするなどの処理が必要です。
小学生のときの写生で、違う色の境界で絵の具が交じり合って、汚い色になった経験をお持ちだと思います。乾くまでの「間」が必要なのです。

 つまり、一日の仕事の間でも、仕事の種類を切り換えるときには、必ず「間」を持ち、一旦ニュートラルの状態の時間を意識して持つことが必要ではないかと思います。
 しかし、無理矢理「間」を設けただけでは意味がありません。たとえば、踏み切りの一旦停車は、安全確認をするためという本来の目的を忘れ、違反切符を切られないために「ほんの一瞬でも止まれば良い」という気持ちになりがちです。
 今回の提案の「間」は、このようなものでは意味がありせん。たとえば、立ち上がって深呼吸でもして、窓から空を見上げ、「今日は良く晴れていたんだな」とか、「あの雲の形、アンパンマンに似ているな(あんた何歳やと突っ込まれそうですが)」などとゆったりとした時間の「間」を持つことにします。

 時間時速は、知らず知らずのうちに速くなって来るものです。そのときは、強引にブレーキを踏まないようにします。ブレーキを踏み続けると、車と同様ペーパーロック(ブレーキオイルが沸点を超え、気泡が生じてブレーキが効かなくなる現象)状態に陥ります。
 車のときのようにエンジンブレーキを使ったり、電車のように減速時はモーターを発電機に切り換えて電力を生み出すなど、効率よく減速して一旦速度をゼロに落とします。そして休憩を取ります。その間に気持ちの上の余裕という充電を心がけようと思います。

 そんなにうまく行くかどうか、おおいに疑問は残りますが、やってみて損はしないだろうと、軽い気持ちで今日からはじめたいと思っています。

 お暇な方、いや忙しい方こそご一緒にいかがですか。

(更新:2004.12.15)