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第18回 一日一考のススメ




子供の頃のようにバラエティに富んだ思考をしよう!

子供の頃と今

 子供の頃に考えたことを思い出してみましょう。
・学校から帰ったら何をしょうか?
・今日はかぶと虫、何匹捕まえるだろうか?
・飼っているザリガニの餌は何が良いだろうか?
 もちろん楽しいことばかり考えていたわけではありません。
・この前の抜き打ちのテストの結果はどうだっただろうか?
・宿題忘れたが、どう言い訳しようか。
今から思うと実にバラエティに富んでいました。

 それに対して、今の自分が考えるシーンを想像してみましょう。
・今日の会議または打ち合わせはうまく行くだろうか?
・今度の仕事はどんでん返し無しで無事進行するだろうか?
・健康診断で悪い結果はでないだろうか?
内容に変化はあるものの、画一的です。

考えるということ

 誰しも人間は絶えず何かを考えながら時を過ごしていると思い込んでいます。 業務中はもちろん、通勤途中や私生活の場でもあらゆる行動の中で思考は行われています。 ただ、「考える」ことと「脳が動く」こととは異なります。
 人間に限らずあらゆる生き物は、生命の維持、危険からの回避などのため、自動的に脳は機能しています。 脳の生理学はさて置き、今回は意識した行為の「考える」について考察・提案します。

 たとえ世間ではクリエイティブな業務と言われる内容でも、無意識のうちに作業が進められている状態もあります。 特に毎日こなすルーチンワーク中は大抵意識して考えることはあまりありません。 まして日程に追われるような状態に追い込まれたときは、大抵何も考えていない状態に陥っています。

 そこで、現在私自身が試みているのが、「一日一考」です。
 一日に必ず1つは新たなことを考えようということです。

Think about something new.

 要点としては昨日までとはどこか/何か違うことを考えてみます。
 業務の中で、新しい提案、手法を見出せればそれがベストです。でも、そんなに毎日で都合よく出てくるものでもありません。 そこで、たとえば毎朝のウオーキングや出勤途中、昼食時などの事象の中に、何か昨日と違うことに出会えれば、 それを単に「見る」だけに留めず、「観察」して「なぜ美しい」、「なぜすばらしい」、「なぜこんなことに」などと考えてみます。 その考えたことはこれもアイデアのひらめき同様、一瞬で消え去りますのでメモなどに残す必要があります。 (「第2回 一瞬のひらめきを逃さず定着させる(固定する)方法」参照)  そして、その日のうちに自分の考えたことを書きとめます。まさしく日記です。 ただ、小学生の頃の日記と違うのは、今日起きたこと、遭遇したことを記述するのではなく、「今日考えたこと」を記述するのが目的です。 文章に変換することにより、頭の中にボンヤリしていることも、明確になります。 この作業を一日も欠かさず続けることが肝心です。一日でもサボると、あとはズルズル行くのは小学生の頃の日記と 全く同じ状態に陥ります。


これをやって、何か良いことあるの?

 実践して1年以上を経過した今、これまで以上に感受性を磨くことができました。日常生活で、昨日と違うことを 何か考えねばならないのですから、考えるテーマ(ネタ)が必要となります。  私の場合、自宅がオフィスですから通勤がありません。また、最近は原稿などを納品するのも、以前のようの車や 電車などを使ってクライアントまで出向くことも激減しています。もし出向いて行けば、そこで会話のひとつも あったのですが、最近はほとんどがネットで送信しておしまいです。メールには世間話などはほとんど書けません。

 このような外部からの刺激が少ない中で、「考えるテーマを探すこと」が一番大変な作業になります。 ですからほんの些細な刺激にも、受信感度を上げたアンテナで拾い集める必要があります。これを日々訓練することとなりました。 もちろん、時にはTV画面から流れるニュースや番組もネタになります。ただこれまでと違うのは、単に映像を網膜に映している だけでなく、その中からテーマを見つけ、自分の考えをまとめる姿勢が身につきました。
 そして、ボーッと輪郭がぼやけた状態の考えも、書くという行為によって、明確になってきます。 言葉にならない「考え」も言葉に置き換える必要に迫られ、「自分の考え、思っていることを明確にする」トレーニングにもなります。

あとがき

 このテーマを思いついて、ここに掲載するまでに結局1年以上を要しました。 (ホームページが更新できなかった言い訳と取られればそれまでですが)
 その理由は、人に勧める前に自分が果たして「一日一考」が行えるどうか、また行ったらどうなるのか確認してみたかったのです。
 結果としては、考える力と、考えをまとめる力が身に付いたと実感しています。

 お金のかかるツールも、かさばる道具も要りません。
ちょっと練習されてみてはいかがでしょう。

(更新:2004.12.01)