5年前の和紙探しの際、ある漉き元さんから「500枚単位なら専用に漉くことも可能。
ただし単価は千円ほど」と聞かされ、私の考える趣味の範囲をとんでもなく逸脱することから、諦めていました。
ところが、今回、5年前まで使っていた和紙を持ち込み、「これと同じ品位のものを探している」
といってサンプルを渡しておいた和紙問屋さんから数日後に電話があり、
「200枚単位で専用に漉く和紙屋さんがある」との連絡がありました。
手渡したサンプルの和紙の出来の好さを見た人の「職人魂」に火が付いたようです。
さらに嬉しいことに、和紙の注文量が減っていることから、ロットも200枚単位、単価もかなりリーズナブルなものが提示されました。
それでも私にとっては200枚とはすごい枚数です。自分の作品づくりに使うなら年間30枚もあれば十分なのです。
でもこの話を蹴ると、極端な話、私自身納得できる切り絵が制作できなくなるのです。
また、この漉き職人さんを捕まえて、技術を伝承してもらわないと困るのです。
ここは思い切って注文をすることにしました。
伝承すべきこと
団塊の世代の退職が始まり、技術の伝承を危ぶむ声があちこちから聞かれます。
そんなことは、ずっと以前からわかっていたことですが、土壇場にならないと実感として湧かず、
放置していたツケが回ってきているのです。
私も団塊の世代の一人として、何か伝承するものはあるのかと自問してみます。
仕事面はともかく、ひとつだけ思うものがあります。それは「切り絵の楽しさ」を伝えたいのです。
私自身これだけ嵌っているのです。広い世の中、私と同じように楽しさを感じる人は、必ずおられるはずです。
たまたま、200枚もの和紙が間もなく入荷します。これも何かの縁、なにかのとっかかりと考え、
切り絵講習会を増やそうと思う今日このごろです。
ところで皆さんは、伝承しておくべきものの対策はされていますでしょうか?