ホームに戻る (株)クリエイトについて コラム 私の発想法

バックナンバーリストへ戻る←←←

私の発想法 バックナンバー

→→→ 最新のコラムへ

第38回 カラスの振り見て


先日驚いたこと

 先日車を運転していたときの出来事です。
 カラスが2羽、道路上で何かをあさっています。彼らは、人間や車の動きは読みきっていますから、 ぎりぎりまで逃げようとしません。  いよいよ近づいたときに「チェッ!」とでも言わんばりかり、人を小馬鹿にするかのように飛び立ちます。
 こちらも、きわどいタイミングでかわすことがわかっていますから、特に車を減速させることもなく、車を走らせます。

ホップ、ステップ、ゴキッ!

 かなり近づいたとき、やっと飛び立つ準備に入り、1、2とステップを踏みます。 3ステップ目、1羽は普通に飛び上がりました。が、もう1羽はなんと3ステップ目で体制を崩して、羽が道路に触れています。 躓いたか、足首を捻挫でもしたのでしょうか。焦っている気配は、こちらにも手に取るようにわかります。
 これには、私も慌てて、急ブレーキとハンドル操作でかわす体制に入ります。  と次の瞬間、カラスは何とか体制を立て直して、飛び立って行きました。フロントガラスすれすれ、 足の裏のイボ(タコ?)が見えるほどの距離で、私の車をかわしました。 ボンネットに彼(彼女?)の羽が2枚舞い落ちるや、後方に飛んで行きます。  ほんの一瞬の出来事でした。

猿も木から落ちる/河童の川流れ/カラスも躓く?

 自信がある、あるいは実績があると、ついつい油断します。人間に限らずカラスもそのようです。
 また、相手も実績をベースに考えて安心しきって対処します。
 今回のカラスの躓きは、この油断、気を抜くことが如何に危険であるか、改めて考える機会を与えてくれた、小さな事件でした。
 日々の生活の中で、四六時中、強く緊張し続けることは不可能に近いです。 もしそんなことをしていたら、神経が磨り減ってしまいます。
 ただ「緊張していない状態」と、「舐めてかかった状態」とでは雲泥の差があるように思います。
 緊張していない状態では、必要性が起きれば、すぐに緊張状態になれば良いのです。
 しかし、舐めてかかると言うことは、既に状況を把握している中での行動・思考ですから、 緊張していない状態から緊張状態にする場合に比して、緊張状態に入るまでに数倍の時間遅れが発生します。 そして最悪、間に合わないことも起こり得ます。

瞬時に緊張モードに移行するには

 いかに迅速に緊張状態に移行するかについて、私は次のように考えています。
 何事についても同じようなことが言えますが、ゼロの状態からいきなり別の状態に急速に移行するのは困難で、 訓練やエネルギー、時間が必要です。
 対策の一つとして、ほんの少しだけその状態に移行しておく方法です。
 リラックスモードのときは別として、通常は完全に気を抜いた状態ではなく、ほんの少しだけ緊張した状態 を保持、そしてこの状態では大きく疲れを覚えることにのないよう、日々心がけるようにしています。  これで、油断からくるミスを防ぎ、緊急事態にも迅速に対応できるようにしたいと思います。

実のところ

 実はカラスのことを笑っている場合ではないのです。このコラムの上記の文章まで書き終えた先日、家の中を歩いていて、 いつも何もないはずの場所に小さな家具が置かれていたのに気づかず、足先を思い切りぶつけました。 あまりの痛さに声も出ません。足をひきずりならが整形外科へ。きっちりと左足中指を骨折、全治約1ヶ月と診断されました。
 現在両側の指をギブス代わりにテーピング生活です。ただ少し速度は落ちますが、歩行や車の運転もできるのが不幸中の幸いです。
 「カラスの振り見て我が振り直せ」、身をもって体験しました。
 家の中と言えども舐めてかかるのは危険です。やはり緊張は必要です。
 皆さんは、どのように緊張感を維持されていますか?

(更新:2006.11.1)