まず取り組んだのが、今回掲載している糸車を使って麻糸を紡ぐ情景です。
杉皮染めの和紙を見て、まず最初に作品にしてみたいと思い浮かんだ題材です。
なおこの題材と紡ぐ人との出逢いには、また別のきっかけと出会いがあるのですが、
長くなりますのでここでは割愛します。
私の切り絵の対象は、これまでただひたすらに仏像だけでした。
今回新たな素材と出逢うことによって、その対象に広がりを見せ始めました。
杉皮染め以外に、檜皮染め、藍染め、よもぎ染めなども分けていただき、
その素材を生かす題材探しに夢中の日々です。
さらに、楮の自然の色そのままの、なんとも暖かさを感じる色(淡いクリーム色)を生かした
題材も探さねばなりません。
この日まで、和紙は限りなく真っ黒なもの、また目が痛くなるほどの白をひたすら探し続けてきました。
そのような色は自然にはほとんどないのです。染料で強引に染め上げたり、あるいは強力に脱色する必要があるのです。
自然の色の美しさに気付いた今、バカの一つ覚えのように黒と白の和紙だけを追い求めていたことが、
空しく思えるぐらいの出来事でした。
殻を破る
すばらしい人に出逢い、素材本来の凄さを教えて頂いたことによって、自分が勝手に作り上げた
「殻」から開放されたような爽快な気分に浸っています。
これからも、人との出会いをより一層大切にして行きたいと思います。
少なくともその日の内に行って合えるなら、臆することなく行動を起こすべきであることを痛感し、
今後の教訓にしたいと思います。
(更新:2006.6.26)