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第29回 人生一定論


持論

 私の持論の一つに「人生一定論」があります。
 人生の中の色々な面において、プラスマイナスはゼロであり、「各自の持分」は誰しも平等で一定ではないかということです。

例をあげてみます

■叱る量と叱られる量
 これはほぼ一定であると思います。つまり、部下をいつも叱っている人間は、上司からいつも叱られているものです。 皆さんの身近には、思い当たる人はいませんか?
 私のサラリーマン時代、この見本のような人が身近に2人いました。実はこの2人を見ていて、この一定論が生まれました。

■喜怒哀楽
 これもプラスマイナスゼロです。大きく喜ぶ人は怒りも大きく、大いに哀しめば、大いに楽しみます。
 逆にあまり喜びを表に出さない人は、悲しみもあまり出さない。いや、プラスマイナスゼロにする関係から出せないのです。

■「つき」の量
 人生の長いスパンで見れば、その量は同じだと思います。
 「あいつはついてるな」と言われる人は、「つき」を短期間に使い果たしているから、そう見えるだけです。
 逆に「あいつはとことんついてない奴だな」と言われる人は、短期間内に一気に遭遇しているだけです。 その時期を通り過ぎれば、あとはもうほとんど残りません。

■涙
 一生に流す涙の量も一定だと思います。いつも泣かされて涙を流していた人も、一定の持分の涙を流し切ると、 とたんに涙を流さない強い人間になるのではないでしょうか。

■お金
 稼ぐお金と使うお金とはバランスを取る必要があります。つまり沢山お金を儲けた人は、沢山お金を使わないといけない。
 この法則に従わない人がいるとお金が循環せず、金持ちと貧乏人ができてしまいます。稼いだお金を使わないのは、 一定論からすればルール違反です。

 この他にも次のようなものが上げられます。
 ・仕事の量と遊びの量
 ・失敗の数と成功の数
 ・摂取量と排泄量(ごく当たり前ですが…)

どのようなときに引っ張り出すか

■へこんでいるとき
 業務上や身の回りが悪い方向へ向いているとき、あるいは芳しい結果がなかなか出ないとき、この持論を引っ張り出すと、 フッと気持ちが軽くなることがあります。
 もっとも、「単なる慰め・言い訳ではないか」と言ってしまえばそれまでですが。

■絶好調のとき
 悪い状況のときより、むしろ調子の良いときにこそ、この一定論を引っ張り出せるよう心掛けたいと思っています。
 調子の良いとき、あるいは良い「波」に乗っているときは、ついつい今の状態が永遠に続く、 続いて当たり前と思ってしまいがちです。
 浮き沈みを繰り返すから「波」なのです。ジェットコースターのように、スタート直後の登りの最中は、 ピークを過ぎた後の世界を見渡すことはできません。ただし、ジェットコースターの場合は、乗る前に軌道のラインを見て、 ある程度覚悟はできます。それでも、実際は思っていたよりもはるかに恐ろしい体験をするものです。
 ところが、日々の生活の中では、前もって先を見ておくことなどできません。 ですから、絶好調のときこそ、調子に乗りすぎることのないよう心がけたいと思っています。


(更新:2005.9.14)